現在、企業の産業保健の取組みは大きく変化してきています。昨年まで大企業ではCSRとコンプライアンス重視の観点から生活習慣病予防対策(通称メタボ対策)、メンタルヘルス対策を積極的に導入しようとしていました。しかし世界的な不況の中、産業保健分野も「選択と集中」の時代に入り、必要な範囲でCSRとコンプライアンスを配慮しながら、削減できるところは、できる限り減らす、という新しい方向に転換する企業が増えています。
株式会社ロブでは、以下の三点を「選択と集中」の対象とし、顧客企業での産業保健活動を支援しています。
A.メンタル対策(休職・復職プログラム含む)
B.感染症対策
C.生活習慣管理(健康診断、過重労働対策含む)の徹底
「選択と集中」の三点を実際に支えるプログラムとして下記の構築を行っています。
1. 企業理念に基づいた産業保健活動理念・方針の策定
2. 精神科産業医を中心とし、労務管理を理解する産業保健スタッフの編成
3. 休職・復職プログラムの構築
4. 実効的な衛生委員会の開催による組織のすみずみへの産業保健の浸透
5. 組織、職場の課題分析
6. 労務管理、ラインケアの観点からの経営者・管理職への教育
7. 健康診断データ一元管理・分析・経営層への報告機能の充実
メンタル対策、感染症対策とも、個人の健康障害に留まらず、職場での業務遂行や業績に大きな影響を与えます。
メンタル対策は、従来からの大うつ病対策もさることながら、俗に言う現代型「うつ」等の社員への対応が大きな課題となっています。疾病対応だけでなく、労務管理を踏まえた対応が必要であり、人事部、職場の上長の役割が大きくなります。この分野の知見を提供する為、ロブは企業の人事部責任者と精神科産業医、社会保険労務士等とともにワークショップ形式の専門的な勉強会(ワークショップロブと呼称)を定期的に開催しています。同様に産業保健スタッフもメンタル関連の専門的な知識と労務管理や就業規則等の知識の双方が必須です。ロブではこれらの基礎的な教育プログラムも産業看護職や心理職を対象に提供しています。
休職・復職プログラムの構築では、個人の快復支援を念頭に置きながら、どのような状態になれば復職できるかといった復職プロセス、復職後の支援体制の構築がポイントとなります。
感染症対策は、これまでもノロウィルス、季節性インフルエンザや結核への対策が求められてきましたが、多くの企業では、依然十分な対策は為されているとは言い難い状況です。感染症対策上、産業保健スタッフの果たすべき役割を明確にするとともに、産業保健スタッフが自己のミッションを認識する教育の提供が必要となっています。
生活習慣管理では、法令に則った過重労働対策及び睡眠に関する教育が必須です。過重労働対策は、法令に則り、管理職を含めた労働時間の把握、過重労働面談体制の構築、業務遂行のマネジメント、及び長時間労働が個人の健康障害を起こすリスクだけでなく、企業経営上のリスクも内在することを明示し、その対策を経営者、管理職、一般社員に提供しています。
若手社員の職場適応促進支援プログラムとしてメンタリングプログラムも提供しています。これは、事務局が積極的にメンタリング活動に介入し、リードすることが重要であり、途中・最後の活動評価も不可欠です。
企業は「病院」でも「治療の場」でもなく、あくまで「働く場」です。
「選択と集中」を進めていくには、対象を明確化させるため、企業の安全配慮義務の観点から実施する支援と、職場の仲間として個人に提供する福利厚生的なサービスとを切り分けることが最重要事項です。